週刊「印刷雑誌」

11巻 15号 2020年4月13日
Japan Printer weekly vol.11, no.15

毎週月曜日(休みの場合は翌日)10時発行
◆週刊『印刷雑誌』は,印刷会社に限らず,印刷物を購入する人,印刷に興味がある人を対象にした無料のWebメディアです。
◆紙メディアである技術専門誌の月刊『印刷雑誌』と連携し,印刷に関係した情報を中心に毎週月曜日発行しています。

 

●印刷をたのしむ

エムズ,iPhoneアプリで複数の写真をまとめてプリントアウト

エムズは4月2日,iPhoneアプリ「写真プリント・現像“さくっとプリント”」をアップデートし,節約分割プリントの機能を追加したと発表した。複数の写真の縦横が自動判定され,日時順に並べた写真プリントを作成することができる。分割数は6分割と2~4分割の2種類。最大6枚の写真を1枚にまとめて印刷することができるためコストを抑えられる。アプリはダウンロード無料(機能追加のApp内課金あり)。

大日本印刷,AIドリル教材展開

大日本印刷は4月7日,Sky(株)と協業し,文部科学省が推進する子供一人ひとりに最適な学習をICTにより実現し多様な人材育成を目指す「GIGAスクール構想」に向けて,小中学校向けの「DNP学びのプラットフォーム リアテンダント」のAIドリル教材を,Skyの「Sky安心GIGAタブレット」に搭載し提供すると発表した。提供サービスの1つである「リアテンダントAIドリル教材(GIGA対応版)」は,小中学校向けに算数・数学・英語のドリル教材で,全国120自治体1600校で採用実績のある,日本コスモトピア社の教材を大日本印刷でデジタル化したもの。

文化庁,令和2年度メディア芸術連携基盤等整備推進事業

大日本印刷は4月10日,同社とマンガ・アニメーション・ゲーム・メディアアート産学官民コンソーシアム,(一社)マンガ・アニメ展示促進機構の3者が共同運営するメディア芸術コンソーシアムJV事務局が「令和2年度メディア芸術連携基盤等整備推進事業」を実施する団体として,文化庁に採択されたと発表した。3者は同事務局を通じて,2021(令和3)年3月31日まで本事業を推進していく。

メディア芸術コンソーシアムJV事務局,文化芸術振興費補助金公募

メディア芸術コンソーシアムJV事務局は,「メディア芸術のアーカイブ推進支援に関する事業」において,以下のメディア芸術作品や関連資料について,整理,保存,修復,デジタル化,メタデータ作成,調査研究等に係る事業とそれらの公開,及びメディア芸術DBを利活用し潜在的ニーズを具現化する団体・事業を,「令和2年度文化芸術振興費補助金 メディア芸術アーカイブ推進支援事業」の対象として5月8日まで公募する。補助金の対象分野は,(1)日本の優れたメディア芸術作品:マンガ単行本・雑誌,アニメーション・特撮フィルム・DVD,ゲームソフト,アーケードゲーム,メディアアート作品等,(2)関連資料:原稿,アニメーション原画・絵コンテ,アニメーション・ゲーム設定資料,参考文献,機材・設計図等の作品保全に必要なデータ等。10月には中間報告会,2021年2月には最終報告会を開催し,関係企業・団体に当事業の成果を公開する。
https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/kobo/1413142.html

日本書籍出版協会・日本印刷産業連合会,造本装幀コンクール中止

日本書籍出版協会と日本印刷産業連合会は4月8日,「第54回造本装幀コンクール」を中止にすると発表した。新型コロナウイルス感染症拡大の状況や緊急事態宣言の発令にあたって,審査会開催も危ぶまれることなどによる。すでに応募している作品は,来年度の造本装幀コンクールにて,審査する。

●プロの世界

凸版印刷,使用済紙おむつのリサイクル開始

凸版印刷と住友重機械エンバイロメント,トータルケア・システムの3社は4月7日,使用済紙おむつの廃棄物が増加する問題に対して,使用済紙おむつをリサイクルする「完結型マテリアルリサイクルシステム」の構築とその後の事業展開に関する協議を始めることに合意した都発表した。使用済紙おむつの分別回収・水溶化処理・再生資源の活用まで,リサイクルシステム全体を構築することが可能となる。

HP,湿式現像方式のデジタル印刷機新製品群発表

HP Inc.(米国)は3月18日,デジタル印刷機の新製品などを発表した。商業印刷向けB2判対応「HP Indigo 100K」は,B2判両面印刷換算で月に100万枚以上の印刷に対応し,毎時6000枚の印刷が可能。狭幅ラベル生産向け「HP Indigo V12」は,最大12色,最大120m/分の印刷速度で,新しいカラーマッチング技術「Spot Master」が業界最速の色合わせ時間を提供する。そのほか,商業印刷向けのB2判対応「HP Indigo 15K」,「HP Indigo 7K」「HP Indigo 7eco」,ラベル・パッケージ向けの「HP Indigo 6K」「HP Indigo 8K」「HP Indigo 25K」,紙器や特殊アプリケーション用「HP Indigo 35K」とB1判対応「HP Indigo 90K」,PrintOSのアップグレードなども発表した。日本HPも6月以降発売していく。HP Indigo V12のみ2022年販売予定。

図書印刷,GP認定取得

図書印刷は4月6日,日本印刷産業連合会が運営する,環境に配慮した印刷に関する認定制度「グリーンプリンティング認定」を取得したと発表した。沼津工場(静岡)と川越工場(埼玉)にてグリーンプリンティング(GP)マークを表示した印刷物の製造を行える体制を整備した。

全日本印刷工業組合連合会,新型コロナウイルス対策で各種情報発信

全日本印刷工業組合連合会は,新型コロナウイルスの感染防止対策に関し,4月10日締切で感染拡大の影響に対する緊急調査へ協力を求め,実施した。また,各メーカー・ベンダーの供給体制の情報をWebに掲載している。さらに,4月7日付の緊急事態宣言発出に伴う対応を呼びかけている。

●印刷・デザイン・出版イベント案内

(新型コロナウイルス感染防止のため中止・延期になる場合があります。ご来場の際は,主催者・事務局に必ず問い合わせてください)

6月15日から,佐藤卓とTSDOの仕事展スケジュール変更

東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーは第380回展「佐藤卓とTSDOの仕事」を5月14日から予定していたが,「6月15日~終了未定」に会期を変更した。
http://www.dnp.co.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000754

9月4・5日,札幌で展示会HOPE(Hokkaido Print Expo)

印刷関係のセミナーと展示会HOPE(Hokkaido Print Expo)が9月4・5日,北海道のアクセスサッポロで催される。主催の実行委員会(北海道印刷工業組合内)は,出展者や講演者を募集している。
http://www.print.or.jp/event/hope2020-exhibit.html

10月2・3日,池袋でオーダーグッズビジネスショー

ハンコとスタンプ,ウエアプリント,オリジナル・SPグッズに特化した展示会「オーダーグッズビジネスショー2020」が10月2・3日,東京・池袋サンシャインシティで開かれる。主催はゲンダイ出版内の実行委員会。入場無料。
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/ttwk3775/n2i3qvjya1h9/o9c67qm6/

●新型コロナウイルス関連の編集部コラム

4月7日,新型コロナウイルス感染防止のため,緊急事態宣言が発令された。7都府県で5月6日までである。そのほか,都道府県単位で独自に緊急事態宣言の発令もある。印刷産業でも大手企業が感染者を出したと発表しているし,凸版印刷は4月9日に同社の金子眞吾会長(日本印刷産業連合会会長)も陽性反応が出たと発表した。
印刷企業や印刷関連企業でも,テレワークが進んでいる。印刷・製本工場はテレワークはできないが,企業により総務・管理系のほか,印刷営業マンもテレワークに入っている。逆に得意先から営業は来ないでくれと言われる印刷会社もある。

菌とウイルス
周知のとおり,菌とウイルスは異なり,抗菌製品であっても抗ウイルス製品ではない。細菌とウイルスの違いは細胞のある・なしや増殖方法だが,一般的に大きさも異なる。菌は1μm程度,ウイルスはその1000分の1の1nm程度という。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスで0.1μm(=100nm)という。マスクはほとんど意味がないというが,これは細菌の通過は防げてもウイルスは通過してしまうからだと言われている。
平版オフセットインキの紙の上の膜厚はおおよそ1μm(=1000nm)であるので,新型コロナウイルスの大きさは,インキの膜厚の10分の1程度ということになる。Landa社は同社のインクジェットオフセット印刷技術の「ナノグラフィ」のインク膜厚は500nm(=0.5μm)と発表しているので,ナノグラフィのインク膜厚は新型コロナウイルスの5倍程度だ。(つづく)
〔1mm=1000μm(ミクロン,マイクロメートル),1μm=1000nm(ナノメートル)〕

 

 

 

◆月刊『印刷雑誌』最新号のご案内

2020年5月号【 特集:工夫を凝らす紙器印刷 】(4月20日発行)
今月はさまざまな紙器の活用を紹介します。
POP的なもの、飛び出す絵本的なもの、AR、VRへの誘導、デジタルでの可変印刷などさまざまな話題を盛り込みました。
新型コロナウイルスの影響で、仕事が減っている印刷会社は少なくないでしょうが、軟包装や紙器、とくに小売の食品系は増産が見込まれているようです。印刷を生業としている皆さまに本特集がご参考になれば幸いです。

https://www.japanprinter.co.jp/monthly_magazine/202005/