週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻31号 2010年11月29日
Japan Printer weekly vol.1, no.31
毎週月曜日10時発行(発行日が祝祭日のときは翌日発行)

週刊『印刷雑誌』は,印刷に興味がある人を対象にした無料のWebメディアです。
紙メディアである技術専門誌の月刊『印刷雑誌』と連携し,印刷に関係した情報を中心に毎週月曜日発行します。

電子書籍配信事業準備が事業会社化
 凸版印刷とソニー,KDDI,朝日新聞社が7月に共同設立した電子書籍配信事業準備(株)は,11月4日付で「株式会社ブックリスタ」として事業会社化した。同社は,電子出版のコンテンツ収集と電子化および管理,顧客認証や課金システム,プロモーション業務などのサービスのためのプラットフォームを構築する。同プラットフォームを利用することで電子書籍の端末メーカーおよび販売事業者は,Web上に各社の販売拠点を設置し,さまざまな端末向けにコンテンツを提供できる。

大日本印刷,iPhoneでデジタル画集アプリを販売
 大日本印刷と子会社のDNPアートコミュニケーションズ,ソフトウェア開発を行うウタゴエは11月22日,デジタル画集であるiPhone向けアプリケーション「iMuseum ルーヴル美術館」の販売を始めたと発表した。同アプリケーションでは,ルーヴル美術館が所蔵するダ・ヴィンチやフェルメールなど西洋絵画の巨匠たちの傑作30点を鑑賞できる。

ソニー,電子ペーパーの書籍リーダー発表
 ソニーは11月25日,電子書籍端末,5型ディスプレイ搭載の「Reader Pocket Edition(リーダー ポケット エディション):PRS-350」および6型ディスプレイ搭載の「Reader Touch Edition(リーダー タッチ エディション):PRS-650」を12月10日に発売すると発表した。E-Ink社の電子ペーパーを採用し,それぞれ155g,215gの軽量と文庫本サイズが特長。市場推定価格はそれぞれ2万円,2万5000円。
 また,読者向けのオンラインブックストアとして,Reader Storeを立ち上げ,12月10日より配信サービスを始める。サービス開始時には2万冊以上の書籍を準備するという。

28号,出版社向けデジタルコンテンツ配信プラットフォームを提供
 (株)28号は11月24日,アップル社が提供するiPhoneとiPadのアプリケーションの課金機能を使ったストアアプリケーションと,電子書籍ビューワー,コンテンツサーバーをセットにし,低コストで電子書籍の販売を始められるプラットフォーム「PurchasePlug beta」の販売を出版社向けに始めた。今後,各種デジタルコンテンツ販売事業者向けにも提供し,OSのアンドロイドにも対応する。

ロータスエイト,ファッションマガジンをiPadで
 ロータスエイトは,ファッションブランドHEADPORTERのiPad向けビジュアルマガジン&カタログ「HEADPORTER MAGAZINE VOL.1 for iPad」を企画・デザインし,AppStoreを通じて配信を始めた。同アプリケーションはアドビシステムズ社が提供している電子出版システムを利用して制作したもので,日本国内で同システムを利用したアプリケーションのAppStore配信は初という。

清文社,法人税の実務図書を電子書籍化
 税務や会計などに関する書籍を発行する清文社は11月8日,法人税に関する法律や政令,省令および通達を体系的に整理した書籍『法人税の決算調整と申告の手引:平成22年版』をPDFデータ化し,Web上で利用できるようにした。専用のWebサイトにIDとパスワードでログインし,閲覧・検索できる。3780円。

日本ペーパークラフト協会,発足
 立体紙製品の教育,普及,文化継承などを目的とする「一般社団法人日本ペーパークラフト協会」が11月22日,設立総会を行い発足した。初代会長は日本経済新聞社元社長の鶴田卓彦氏。

大日本印刷へソニーが業務用デジタルフォトプリンタ事業を譲渡
 大日本印刷とソニーは,ソニーが業務用デジタルフォトプリンタ事業(プリンタの製造を除く)を大日本印刷へ譲渡することで合意し,11月22日に事業譲渡契約を結んだ。事業譲渡実行日は2011年4月1日。これにともない大日本印刷は,ソニーが設置した写真即時プリントや証明写真用プリンタ向けに,昇華型プリント材料を滞りなく供給する体制を構築する。なおソニーは,今後も医療用途の業務用プリンタ事業を継続する。

モリサワ,電子書籍ソリューションをAndroidに対応
 モリサワは11月24日,電子書籍ソリューションMCBook Ver2.1を正式発表した。従来対応していたiPhoneおよびiPadに搭載されるiOSだけでなく,携帯情報端末用OSのアンドロイドに対応させたもので,組版ソフトMC-B2で作成したファイルを電子書籍化できる。

富士ゼロックス,色校正向け複合機を発売
 富士ゼロックスは,デザイン,グラフィックアーツ市場向けの電子写真方式カラー複合機「DocuColor 1450 GA」の販売を2011年1月から始める。新開発のプリントエンジンは1色ずつ4回の印刷工程を行う「4サイクル方式」を採用し,色ズレ,色ムラの発生を抑える。毎分14.3枚(A4判横)の出力でも安定した色再現性を図った。さらに用紙の位置ズレ補正や画像ズレのデジタル補正機能のほか,用紙カール抑制,コート紙の光沢を3段階で調整できる機能などを搭載した。用紙は最大300g/m2に対応する。269万円。
 また,プリントサーバー「PX 140 Print Server U」,「同L」(それぞれ198万円,128万円)も合わせて発売する。

エプソン,ビジネス向け商品キャンペーン
 エプソン販売は,ビジネス向け商品を対象としたキャンペーンモデルを提供する「お得祭り2011」を12月1日から2011年3月31日受注分まで実施すると発表した。ページプリンタ,複合機,インクジェットプリンタ,インパクトプリンタ,CD・DVDデュプリケーター,プロジェクター,スキャナー,会計・業務ソフトが対象。

組織内違法コピー実態調査,約85%が改善したいと回答
 世界80ヵ所以上の国や地域でビジネスソフトウェア業界の権利保護支援などを行うNPO法人ビジネスソフトウェアアライアンス(本部:米国)は,首都圏に在住する一般企業社員を対象に企業の組織内違法コピーに関する実態調査などを行った。自社内での違法コピーが黙認されている場合,全体の約85%が信頼感が低下すると回答した。また,状況改善に関しては,社内解決を図る54%,内部告発を行う37.5%と高い意識が確認された。

三菱重工,UVランプの灯数を削減するUVシステム発表
 三菱重工印刷紙工機械は,従来のUVランプの灯数を削減しオゾンも発生させないUVオフセットシステム「ecoUV」を開発した。12月2日に広島・三原の同社で,厚紙対応のLED-UV乾燥装置付き印刷機の実演とともに,正式発表する。

ハイデルベルグ,毎時1万6500枚の菊全判機を投入
 ハイデルベルグ・ジャパンは,毎時1万6500枚を印刷する菊全判オフセット枚葉機「スピードマスターCX102」を2011年2月から日本で発売する。今年5月の国際印刷機材展IPEXで発表した同機は,従来機XL105に搭載された全自動システムや機構技術を継承している。対応用紙サイズは菊全判寸延び(72×102cm)で,厚みは0.03〜1mm。新たにオペレータガイダンスシステムやインライン測定システムを搭載し,印刷前準備時間の短縮を支援する。コーティングユニットのほか,UV印刷装置,コールドフォイル装置などが組み込め,パッケージやラベル,商業印刷など多様な分野に適応する。
 また,印刷品質管理システム「プリネクトイメージコントロールII」も2011年4月から販売する。同システムは,スキャニング性能の高解像度化やスキャン時間の短縮,自動エリア認識機能,白色LEDの採用などシステム全体を見直し,機能,性能,操作性の向上を図った。

山櫻,プリンタ用メタリック箔を発売
 山櫻は,名刺・はがきプリンタ「Digica Rev.5」専用のメタリック箔の販売を始めた。ホログラム金箔のほか金,銀,赤,ピンク,ブルーの5色リボンで,加工や金型を用いずにホットスタンプと同等の箔プリントが行える。

DAMシステムで素材配信を効率化
 センチュリー21・ジャパンは,ビジュアル・プロセッシング・ジャパンが販売するデジタル資産管理システム「WebNativeSuite」を導入し,加盟店への素材データ運用の効率化を図った。これにより本部が提供する広告写真やロゴなどの素材データを,加盟店がWebブラウザを介して自由に検索,閲覧,ダウンロードすることができ,それまでの課題であった加盟店からの申請に対するデータ検索の手間やメディアの作成・配送手配といった,アナログ作業にともなう余剰業務を削減したという。

CO2排出量取引の実証実験
 凸版印刷,国立情報学研究所,日本ユニシス,セブン&アイ・ホールディングスは11月24日,「サプライチェーン環境貢献技術検討協議会」の設立を発表した。2011年2月にICタグを活用したCO2排出量取引の実証実験を行う。実験では排出権を表すICタグやバーコードをシールにすることで,個人レベルでも返却,譲渡などの簡単な行動で排出権取引に参加できる。

図書館総合展,図書文化のデジタル・ネットワーク化がより顕在に
 図書館向けの製品やサービスを紹介する「図書館総合展」が11月24日〜26日,神奈川のパシフィコ横浜で開かれた。大日本印刷は図書館流通センター,丸善,ジュンク堂と共同で,大学や大学図書館向けのオンデマンド印刷サービスや,紙の書籍と電子出版コンテンツを提供する公共・大学図書館向け出版流通システムなどを提案した。凸版印刷は紀伊國屋書店と共同で,学術書や専門書の電子書籍を収集・配信するサービスや,図書館内の案内に使える小型デジタルサイネージなどを紹介した。そのほかの企業・団体の出展でも,デジタルおよびネットワーク技術を活用した,蔵書情報の管理や発信の提案が多くあった。

全国印刷メディア協議会,電子書籍の影響を学ぶ
 全日本印刷工業組合連合会は11月26日,港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイで「全国印刷メディア協議会」を開いた。「電子書籍が印刷業・出版業に与える影響」をテーマに,文化通信社の星野渉 取締役編集長から出版業界の動向や周辺の団体の状況を,東京電機大学出版局の植村八潮局長からブームにすぎない現状から総務省のICT利活用サービス創出支援事業,クロスメディアビジネスの動向までを聞いた。

日本出版学会,電子書籍を産業から考察する
 日本出版学会は11月22日,東京・神田錦町の東京電機大学で「出版産業変容の透視図」をテーマに研究部会を開いた。東京電機大学出版局の植村八潮局長が「“紙の本”の未来と“デジタルな本”の未来」を副題として,電子書籍に関しブームや話題性でしかない事象から流通基盤の構築までを解説した。

繊維学会,電子出版を含む製紙産業の最新動向を学ぶ
 繊維学会紙パルプ研究委員会は11月26日,東京大学弥生講堂で「製紙産業の将来展望2:ナノファイバーから電子出版までの最新動向を網羅する」をテーマにセミナーを開いた。電子出版の話題で東京大学出版会の黒田拓也氏と東京電機大学の矢口博之准教授が,電子書籍による新たな出版ビジネスの展望と,教科書や保険帳票などでの電子書籍端末の使いやすさについて話した。

日本印刷学会,グラビアとフレキソ分野の環境対応と活路
 日本印刷学会グラビア研究会は11月25日,東京・市谷のお札と切手の博物館で「ハードからみた環境対策の現状と活路」をテーマにセミナーを開いた。富士機械工業の清宮雅幸氏とオリエント総業の原田秀典氏が,無溶剤ラミネータによる環境対応の動向や課題,中間幅対応のインライン型フレキソ印刷機について講演した。
 なお,お札と切手の博物館は12月19日で休館し,2011年3月から移転開館する。移転先は,東京都北区王子1-6-1(現・国立印刷局王子展示室)。

環境保護印刷推進協議会,印刷業におけるCO2排出量削減を学ぶ
 環境保護印刷推進協議会は11月22日,東京・新富の日本印刷会館で「カーボンフットプリントで主導権を握る知識と実践」をテーマにセミナーを開いた。コンサルタントの宗像慎太郎氏が地球温暖化の問題は由々しき事態になっていると講演したあと,全国中小企業団体中央会の大槻満氏とトークの山本徳太郎氏がそれぞれ,炭酸ガス削減に取り組む中小企業の事例と経済産業省の助成制度(国内クレジット制度)や,印刷業界におけるCO2排出量の算定方法などを説明した。

カラーコード・テクノロジーズが受賞
 カラーコード・テクノロジーズはColor C Code事業において,アメリカのIT業界誌『Red Herring』を発行するRed Herring社が主催する「Red Herring Asia Top 100」に選ばれた。同賞はベンチャー企業の登竜門として世界的な権威があるという。

12月3日,日本印刷学会がJapan Color 2007プロファイルの報告会
 日本印刷学会は12月3日,東京・新富の日本印刷会館でJapan Color 2007プロファイルの報告会を開く。参加費3000円。
http://www.jspst.org/event/101203.html

12月3日,日本画像学会が紙出力のシンポジウム
 日本画像学会は12月3日,東京・虎ノ門の発明会館で「紙と紙出力のアイデンティティ」をテーマにシンポジウムを催す。会員9000円,非会員16,000円。
http://www.isj-imaging.org/isj.html

12月8日,ジーエーシティが電子出版をテーマにセミナー
 ジーエーシティは12月8日,東京・新富の日本印刷会館で「進化する電子出版」をテーマにセミナーを開く。イーブックイニシアティブジャパン,ソフトバンクBB,ビジュアル・プロセッシング・ジャパン,方正が講演予定。参加無料,要申込み。
http://www.ga-city.com/page.jsp?id=1430

12月10日,印刷技術懇談会が勉強会
 印刷技術懇談会は12月10日,中野坂上の東京工芸大学で勉強会を行う。「印刷は絶滅種か?」をテーマに,ハイデルベルグ・ジャパンの水野秀也氏が講演する。参加費1000円。
http://www.ingikon.cup.com/24latest_meeting_index.htm

12月17日,印刷志の会が勉強会
 テクノロールが主催する「印刷志の会」は12月17日,東京・浅草の同社で勉強会を開く。東レを講師に「水なし印刷の特徴と注目点」のテーマで話を聞く。参加費500円。
https://x157.secure.ne.jp/~x157007/forum/topic-8.html

日本ペンクラブ,来年1月23日に「電子書籍と図書館」セミナー
 日本ペンクラブと追手門学院は2011年1月23日に追手門学院大阪城スクエアで「電子書籍と図書館」をテーマに講演会と討論会を催す。参加費500円。
http://www.otemon-osakajo.jp/usr/index.php?c=course_view&pk=1290678905

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週刊『印刷雑誌』1巻31号
2010年11月29日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部

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