週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻23号 2010年10月6日〈臨時増刊,電子出版特集号〉
Japan Printer weekly vol.1, no.23

本メディアは,紙メディアである月刊『印刷雑誌』と連携し,印刷に関係した情報を中心に毎週月曜日発行します。グラフィックアーツに関するポイント的情報収集にお役立てください。
週刊『印刷雑誌』:毎週月曜日10時発行(発行日が祝祭日のときは翌日発行)

大日本印刷,書籍製造の専門会社設立
 大日本印刷は10月1日,書籍製造に関連するグループ会社2社を統合し,新会社「(株)DNP書籍ファクトリー」(西村淳社長)を設立した。資本金2億円,従業員数630人,本社は,東京都新宿区市谷加賀町,製造拠点は,赤羽,神谷,川口,白岡。
 大日本印刷は,2009年7月に書籍中心の出版社向け営業部門を設置,同年10月に書籍専用の印刷・製本一貫製造ラインを埼玉県の白岡工場内に新設するなど,書籍印刷事業の強化を図ってきた。これまで書籍製造は,DNPオフセットとDNP製本の連携を図りながら対応してきたが,書籍製造に関わる印刷と製本それぞれの製造設備の合理化と,生産管理体制の整備・強化が必要と判断し,両社を統合することとした。大日本印刷と新会社は,紙の書籍から,POD(プリントオンデマンド)による製造,電子出版コンテンツの制作・配信までをワンストップで提供するハイブリッド制作体制を強化することで,出版社のビジネス拡大を支援する。

大日本印刷,CHIグループ,電子図書館の構築支援サービスを開始
 大日本印刷と子会社のCHIグループは共同で,図書館向け電子図書館サービスを10月から始める。大日本印刷が推進する,紙の書籍と電子出版コンテンツの双方を提供する “ハイブリッド型出版流通事業”の一環。今秋に開設する国内初となる最大級のハイブリッド型総合書店とともに,教育・学術市場である公共・大学図書館にハイブリッド出版流通の仕組みを提供する。
 生活者,学生,研究者など幅広い図書館利用者向けに,これからニーズの拡大が予想される電子書籍を貸し出すほか,図書館の保有する郷土資料,貴重書などをインターネット上に公開し,閲覧できるようにする。また,図書館が所蔵している紙の書籍の検索や貸出予約を行うこともできる。CHIの子会社である図書館流通センターと丸善が,公共図書館および大学図書館に向けてサービスを販売する。

デジタルカタパルト,コミック作品2万巻超を提供
 共同印刷の関連会社でデジタルコンテンツの販売と制作を行うデジタルカタパルトは,同社が運営するPC向け電子コミック販売のWebサイト「ソク読み」でコミック専門出版社のマッグガーデンの作品配信を9月8日から始めた。同社では,小学館,講談社,秋田書店,少年画報社,双葉社,リイド社,朝日新聞社,朝日新聞出版,幻冬舎コミックス,フレックスコミックスのコミック作品を扱っており,2010年末までに2万巻以上の作品を読者へ提供する予定。

廣済堂,既存に加え独自の書籍も用意
 廣済堂は8月,iPadおよびiPhone向けの電子書籍書店アプリケーション「BookGate」の公開を始めた。
 書籍の検索から購入,読書,本棚の設定までを1つのアプリケーション内で行える。60社の出版社やコンテンツホルダーと契約しており,公開に合わせて70作品を発売した。年度内には2000作品を揃える予定。また,独自の電子書籍の企画や開発にも取り組んでおり,その第一弾としてミュージシャンの石井竜也氏の作曲秘話などを収録した電子書籍『詞解文書』も発売した。

大和出版印刷,ブログから電子書籍を作成
 大和出版印刷(神戸)は9月,ブログの内容をまとめたePub形式フォーマットの電子書籍の制作と販売を始めた。発売第一弾の書籍は,神戸の鞄職人・松本佳樹氏がブログで綴ったエッセイをまとめた『ル・ボナーの一日』で,同社関連会社のdignetが運営するWebサイト「fromkobe.jp」で販売している。

石田製本,電子と紙の両媒体をPOD
 石田製本は9月,電子書籍と紙の書籍を一度の編集作業で製作できるWebサービス「P-BOOKS」を始めた。
 Web上で編集した書籍データを自動的に電子書籍用フォーマットのePub形式に変換し,iPadやiPhoneで閲覧できるようにする。第一弾は,デジタルカメラの写真から作る電子フォトブックの制作を主軸に展開する。また,保存や贈呈用にハードカバーのフォトブックを1冊から注文することもできる。

小野高速印刷,自費・個人出版本を電子出版
 小野高速印刷は9月,自費および個人出版された書籍を中心に扱う電子書籍の出版・販売Webサイト「BookWay」を開設した。すでに自費出版された本から,PCとiPadに対応する電子書籍を作成し販売する。また自動組版システムとも連携し,まだ紙媒体で出版されていない原稿も電子出版できるほか,紙の本を1冊から受注生産する。
 同社のこの取り組みは,一般の図書館や書店では扱われない自費出版や個人出版書籍の,専門性や独自性,メッセージ性といった価値に着目し,それを必要とする人へ届けることをコンセプトにしている。そのため同サイトには,本の紹介ページに著者がオンラインで紹介文を掲載する機能や,著者と読者が情報交換できる機能なども設けた。

文藝春秋,モリサワのソリューション採用
 文藝春秋は9月2日,モリサワの電子書籍ソリューション「MCBook」を採用したiPad・iPhone向け電子書籍アプリケーションをアップル社が運営するWebサイト「App Store」で発売した。コンテンツは,芥川賞作家・綿矢りさの『勝手にふるえてろ』と,ミステリー作家・米澤穂信の『インシテミル』で,前者は同社初の試みとして紙の単行本とほぼ同時に発売し,電子書籍には著者のビデオメッセージも収録した。

毎日コミュニケーションズ,電子出版をテーマに雑誌創刊
 毎日コミュニケーションズは9月27日,電子出版を題材とするビジネス雑誌『e-bookジャーナル』(小木昌樹編集長,隔月刊)の創刊を発表した。紙版はB5判横組み160ページ,2100円,発行部数2万部。電子版はPDFで1260円(年間定期購読5040円),富士山マガジンサービスが配信する。ともに同時発行で11月中旬創刊予定。

シャープ,電子ブックサービスを発表
 シャープは9月27日,「電子ブックストア」サービスを12月(予定)から始めること,および専用端末のタブレットPC「GALAPAGOS」を発表した。このサービスは「自動定期配信サービス」を備えているため,定期購読(有料)を申し込んだ新聞や雑誌などの最新コンテンツを専用端末で見ることができる。また本サービスは,人気の高い電子書籍コンテンツの体験版(無料)が自動配信されるので,消費者は気に入ればすぐに購入できる。開始当初のラインナップは,新聞,雑誌,書籍など3万冊を予定。
 専用端末は5.5型(1024×600ドット)液晶のモバイルタイプと,雑誌を見開きで見ることができる10.8型(1366×800ドット)HD液晶タイプの2機種。

本スキャン,1冊100円で電子書籍化
 紙の書籍をPDFデータにして電子書籍化を行う本スキャンは9月27日,350ページ以内の書籍を1冊100円でスキャンしてPDFデータにするサービスを始めた。データ化する書籍は,利用者やアマゾンなどのネット書店から直接同社へ送ることができ,同社での断裁やスキャン,データ化によってキンドルやiPad,iPhoneなどの機器に対応する電子書籍となる。料金は別途にCD-R・DVD-Rでの納品代などがかかる。

dcWORKS,デジタルの絵本で読み聞かせ
 デジタルコンテンツの企画や開発を行うdcWORKSは8月,アンドロイド端末の自動音声により絵本を読み聞かせる電子書籍アプリケーション「読み聞かせデジタル絵本」の提供をグーグルのWebサイト「アンドロイドマーケット」で始めた。
 国際デジタル絵本学会が著作権管理する絵本をデジタル化した電子書籍を,アンドロイドのプラットフォームを搭載したスマートフォンや携帯電話に提供し,同端末で絵本のイラストを自動表示すると同時に物語を自動音声で読み上げる。日本語と英語に対応しており音声や字幕の切り替えができるほか,同じページを繰り返し再生することもできる。また,iPadやiPhone向けの提供も予定している。

ジー・サーチ,書籍・雑誌を記事単位で提供
 ビジネス情報データベースを提供するジー・サーチは,電子書籍および雑誌を販売するWebサイト「G-Search ミッケ!」の運営を9月より始めた。
 同サイトは『週刊ダイヤモンド』や『週刊東洋経済』など,ビジネス分野の電子書籍や雑誌のデータを,記事や調査報告書,レポートなどを中心に10万件収録しており,記事単位で販売する。データは,iPadやiPhone,アンドロイドの各デバイスに対応するPDFフォーマットで提供する。

ラクティブ,電子書籍出版のSNSサイト
 メディアソリューション事業などを行うラクティブは9月,読書愛好家や作家志望者向けのSNS型Webサイト「Rac Pub」の運営を始めた。
 同サイトに会員登録すると自作の小説やエッセイ,詩などを投稿および閲覧でき,ほかの会員との交流も図れる。サイト内で閲覧数が多い作品は,同社が提供する電子書籍制作のWebサービス「ラクティブ書店」でiPhoneやiPad用の電子書籍にされ,アップル社の「App Store」で販売される。

インフォトップ,個人の電子出版の市場が急拡大
 電子書籍の出版と販売を行うインフォトップは8月,個人がWeb上に書籍を公開して販売する市場の拡大の影響を受けて,同社の出版および購入サービスの登録会員数が100万人を突破したと発表した。
 同社では実用書を中心に扱っているが,編集作業が入らない電子書籍の質のばらつきを防ぐため,価格や内容について審査し,購入者の信頼性の向上を図っている。同社では1日平均2000件の電子書籍の販売決済がされ,2006年11月のサービス開始以来,販売決済数は220万件超となっている。

ルーラー,印刷物の製版データから電子書籍化
 Webビジネスを支援するルーラーは9月,パンフレットやカタログ,書籍などの印刷物の製版データをHTML5を利用してWeb化し,電子書籍を作成・公開するアプリケーション「ebook5」のサービスを始めた。
 ブラウザで動作するためプラグインや専用アプリケーションが不要で,1つのファイルを制作すると閲覧専用のサーバーがなくてもさまざまな端末で閲覧できる。作成した電子書籍はWeb上の検索エンジンにも対応する。ダウンロードは無料,商用利用は有料。

COWs,電子書籍をシンプルな操作で作成
 電子書籍のソフトウェア開発やWeb出版サービスを手掛けるCOWsは10月,エクセルデータからePub形式のファイルを生成してiPadやiPhone向けの電子書籍を作成するソフトウェアを開発し,ダウンロード販売を始めた。同ソフトは,エクセルデータの作成と同様の操作で写真や文字の編集ができ,ePub形式への変換ボタンをクリックするだけで電子書籍化ができる。

電子書籍に欠かせないセミナー開催
 10月20日と11月15日,東京・神田の岩波セミナールームで出版社の戦略的著作権講座「電子出版と契約をめぐる最新状況」が開かれる。講師は植村八潮氏と村瀬拓男氏,主催は出版研究センター。10月20日の内容は「出版者の権利に関する最新状況と雑協ガイドライン」,11月15日の内容は「新しい書協ひな型の解説とそのカスタマイズ」で,参加費はそれぞれ7000円。
http://skc.index.ne.jp/seminar/20101020.html
 10月28日,東京・一ツ橋の日本教育会館で編集講座拡大セミナー「成功する電子書籍ビジネスへ向けて」が開かれる。講師は伊藤正裕,野口不二夫,青木栄太の各氏,主催は日本編集制作協会。参加費4000円,会員は3500円。
http://www.ajec.or.jp/?p=1896
 11月19日,東京・神田の岩波セミナールームで「デジタル時代の校正の基礎知識」が開かれる。講師は野村保惠氏,主催は出版研究センター。参加費10,000円(テキスト付き)。
http://skc.index.ne.jp/seminar/20101119.html

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週刊『印刷雑誌』1巻23号〈臨時増刊,電子出版特集号〉
2010年10月6日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部


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