週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻18号 2010年9月13日
Japan Printer weekly vol.1, no.18

本メディアは,紙メディアである月刊『印刷雑誌』と連携し,印刷を中心とした情報を中心に毎週月曜日発行します。グラフィックアーツに関するポイント的情報収集にお役立てください。

トーホー加工,水性フレキソ機とVOC処理機で業界先導
 トーホー加工は栃木・小山の同社工場に水性フレキソ印刷機およびVOC処理装置を設置し,9月7日に関係者に披露した。グラビア印刷業の同社は,より一層の環境対応印刷手法として水性フレキソ印刷への展開を図ったほか,従来のグラビア印刷におけるVOC処理システムとして圧縮溶剤の回収リサイクルシステムおよび省スペース化と低コスト化を図ったドライラミネータ用触媒燃焼装置を導入し,実稼動を始めた。(詳細は月刊『印刷雑誌』11月号)

竹橋プリンティングセンター,得意製品を披露
 竹橋プリンティングセンターは9月6日,東京・竹橋の如水会館でコミュニティスクエア交流会を開いた。「プレゼン大会」として次の各社が得意分野を披露した。
 高山印刷(高山)は宛名印字やWeb入稿,ハート(大阪)は名入れ紙製品,佐川印刷(松山)はハッピ,大阪シーリング印刷(大阪)は糊が残らないラベル,北海道磁気印刷(札幌)はICカードの製造,エール印刷(東大阪)は各種UV印刷,野崎工業(大東)は各種ビジネスフォーム,新和製作所(川越)は紙製ディスプレイ,ムトウユニパック(東京)は中国生産の高級志向手提げ袋をそれぞれ紹介した。

中部小森会,印刷とITの討論
 小森会は9月8日,名古屋東急ホテルで「中部小森会」を開いた。小森コーポレーションから“予防保全”と“工場改善による生産性向上”の講演があったほか,同社の小森善治社長は基調報告として,世界の印刷市場の潮流を話した。
 また「“ユニークポジション”貴社の持味,特長・独自性は何ですか?お客様は貴社を探しています。」をテーマにパネル討論をした。アサプリの松岡祐司社長をコーディネーターに,販促ファクトリーの西川誠也,ロックウェーブの岩波裕之,U.S.Pの加藤洋一の各社長がおもに次のことを話した。印刷物を作るのではなくどうプロモーションするのかが問題である。紙とWeb(ケータイ)は(足し算でなく)掛け算の効果になる。印刷物(モノ)を,業績を上げるコトにする必要がある。顧客の業績が上がれば,叩かれず,再注文やクロスメディアへ展開する。社内のムダは掘り起こせば埋蔵金だ。安く売って利益が出れば良いことだが,そうでなければオウンゴールである。

印刷技術懇談会,イギリス印刷事情を解説
 印刷技術懇談会は9月10日,中野坂上の東京工芸大学で勉強会を開き,小森コーポレーションのニール・リグレスワースKGC副センター長からイギリスを中心とした欧州の印刷事情について聞いた。市場シェアが大きいのはパッケージとラベル印刷で,デジタル印刷が伸長傾向にある。イギリスの印刷会社の75%が従業員10人以下の規模で,55%が総所得25万ユーロ以下である。ブローカーが主流で,印刷会社は価格競争の激化や,支払いの遅延などに悩まされている,などの説明があった。次回は10月14日,同会場で日本ヒューレット・パッカードを講師に開かれる予定。

印刷大手3社がCS 5による印刷入稿体制を確立
 大日本印刷と凸版印刷,共同印刷は9月10日,アドビシステムズのデザインソフト「Creative Suite 5」による印刷入稿・出力への対応を表明した。同ソフトは,プリント・Web・インタラクティブ・モバイルコンテンツに対応するデザイン制作環境を提供する。印刷出版業界での導入が進んでおり,9月1日現在で国内45社58店が同ソフトでの出力に対応している。

デュプロ,高速型のメール圧着機を発売
 デュプロは業界最高速とされる毎分116m(ハガキ換算で毎時5万枚処理)のメール圧着機「MS-9500S」を発表し,9月6日〜10日に東京・池袋の同社で内覧会を催した。連続帳票と手差しによる単票帳票に対応し,オプションでロール紙での給紙もできる。100種類のプリセット登録が可能。仮圧着と本圧着の2本の圧着ローラの搭載により,高速化と安定性を図った。

GMG,ローランドDGプリンタにカラマネ対応
 ドイツGMG社は8月23日,ローランドディー.ジー.の大判インクジェットプリンタVersaUV LEC-330用のプリンタドライバを発売した。おもにパッケージ・ラベル印刷市場のモックアップ(模型)製作における,フレキソ,オフセット,グラビア印刷機に近い光沢や特色の再現に向けたカラーマネジメント機能を備える。

ソフトウェア・トゥー,フォント管理ソフトを更新
 ソフトウェア・トゥーは,米国Extensis社製のフォント管理ソフト「Extensis Suitcase Fusion 3 日本語版」を10月6日から発売する。ウェブプレビューやフォントプレビューなどプレビュー機能の強化と,Adobe CS5へのプラグイン対応で,フォント管理環境の安定化を図った。1万2800円。Windows版は10月下旬の発売。

カラーコード・テクノロジーズ,CCコードのWeb上作成を支援
 カラーコード・テクノロジーズは,同社が開発,販売している「カラーコンストラクトコード(CCC)」をWeb上で作成できるサービス「CCC Lite」と「CCC Pro」を同社サポートサイト内で始めた。前者はタイトル,コメント,リンク(最大3種類)を任意に入力し,それをHTML化しコード化する。無料だが,任意のファイルを埋め込むことはできない。後者は任意のファイルの埋め込みに対応するなど用途を拡大したもの。合わせて携帯電話用の読み取りアプリケーションも発表し,サービスの展開を図る。

デジタルサイネージシステムを共同開発
 サイバーステーションと日本サムスンは9月7日,デジタルサイネージ分野で協業した。それぞれが販売する「デジサイン」と「ハルヱとケイジ」を統合し専用ソフトの開発により「ハルヱとケイジ de デジサイン」として販売する。デジタルサイネージの導入や運用の簡便化を図ったもので,クラウド型サービスで配信が行える。初期費用4000円,月額利用料5000円。

デジタルカタパルト,大手コミック出版社11社の作品2万巻超を提供
 共同印刷の関連会社で,デジタルコンテンツの販売と制作を行うデジタルカタパルトは,同社が運営するPC向け電子コミック販売のWebサイト「ソク読み」でコミック専門出版社のマッグガーデンの作品配信を9月8日から始めた。そのほか同社では,小学館,講談社,秋田書店,少年画報社,双葉社,リイド社,朝日新聞社,朝日新聞出版,幻冬舎コミックス,フレックスコミックスのコミック作品を扱っており,2010年末までに2万巻以上の作品を読者へ提供する予定。

個人の電子出版の市場が急拡大。2014年には3000億円に
 個人がWeb上に書籍を公開して販売する市場が拡大しており,電子書籍の出版と販売を行うインフォトップは8月,同社の出版および購入サービスの登録会員数が100万人を突破したと発表した。同社では実用書を中心に扱っているが,編集作業が入らない電子書籍の質のばらつきを防ぐため,価格や内容について審査し,購入者の信頼性の向上を図っている。同社では1日平均2000件の電子書籍の販売決済がされ,2006年11月のサービス開始以来,販売決済数は220万件超となっている。
 アメリカで350億〜400億円の市場規模があるという個人の電子出版は,現在日本でも200億円を超える規模になっているという。大手電機メーカーや印刷会社が電子書籍会社を設立するなど,今後の成長を注目される電子出版市場は,富士キメラ総研によると2010年は631億円,2014年には3000億円まで拡大すると予測されている。

文字と印刷の源流を訪ねる「松根コレクション」
 「文字と印刷の源流を訪ねる旅」と題した展示会が7月20日〜9月10日,佐賀県みやき町元民間保養施設内美術館で催された。印刷研究家の松根格氏が印刷会社勤務時代や現在の各社顧問の間に蒐集した,松根コレクションと呼ばれるアジアを中心とした文字に関する資料を展示。東巴文字手書き字書,竹簡冊,甲骨文,現存する世界最古の大きさという5mの木版刷り巻物(経文)など80点が並んだ。

9月15日に「印刷の月」式典開催
 日本印刷産業連合会は9月15日,東京・紀尾井町のホテルニューオータニで「9月印刷の月」の記念式典を行う。記念講演では日本総合研究所の高橋進氏が「日本経済の現状と展望」をテーマに話す予定。

9月14日まで,49人が選んだ逸品を展示,販売
 日本デザインコミッティーは9月14日まで,東京の松屋銀座で企画展「銀座目利き百貨街」を開いている。同団体の会員を含む建築家,博物学者,デザイナー,評論家など49人が厳選,あるいは創作した作品を展示,販売する。9日のオープニングでは,「妖しい魅力があふれる会場で物を選ぶ,購入することを楽しんでほしい」と同展を総括した原研哉氏が話した。

Too,9月21日にiPhoneとiPadの宣伝活用法でセミナー
 Tooは9月21日,東京・西新宿のアップルジャパンでITソリューションセミナーを催す。iPhoneやiPadの広告宣伝としての活用法についてアドビシステムズ,ピー・アール・オーを講師に制作手法やツールを紹介する。参加無料。
http://www.too.com/event/2010/tokyo0921/

東京TDC賞2011の公募始まる,10月16日まで
 東京タイプディレクターズクラブは10月16日までタイプデザインを中心とする作品賞「東京TDC賞2011」の公募を行う。同団体は,文字または言葉の視覚表現の追求を目的とし,優れたタイプデザイン,タイポグラフィー,タイプディレクションなどに関した同賞を毎年選出している。ポスターや広告,ブックデザインを含む全10部門を用意し,各部門賞のほか全体から大賞が選ばれる。

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重版出来 『印刷現場の予防保全』(川名茂樹著),2940円。
詳細 → http://www.japanprinter.co.jp/cgi-bin/bkdatabase/bookdatabase.cgi?key=%20978-4-87085-188-7

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週刊『印刷雑誌』1巻18号
2010年9月13日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部


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