週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻15号 2010年8月23日
Japan Printer weekly vol.1, no.15

本メディアは,紙メディアである月刊『印刷雑誌』と連携し,月刊誌では遅くなってしまう情報を中心に掲載します。グラフィックアーツに携わる方々のお役に立てば幸いです。

モリサワ製品で大日本スクリーンのヒラギノ販売
 モリサワと大日本スクリーン製造は8月19日,フォントビジネスに関し協力したと発表した。モリサワが販売するフォントライセンス製品「MORISAWA PASSPORT」に,大日本スクリーンの「ヒラギノフォント」がラインナップに加わる。
 MORISAWA PASSPORTはモリサワのすべてのフォントラインナップをPC 1台につき年間5万2500円で使える製品。ヒラギノフォントは,アップル社の「Mac OS X」に6書体が標準搭載され,紙媒体をはじめテレビのテロップやCMなどにも多数採用されている。提供するヒラギノフォントは13種類69書体,9月21日出荷分より。

FFGS,大判UVインクジェットプリンタを発表
 富士フイルムグラフィックシステムズは9月2日〜4日に東京ビッグサイトで開かれるサイン&ディスプレイショーに大判UVインクジェットプリンタの新製品「LuxelJetUV550GTW」を出品する。従来機に比べヘッドの数が倍になり,UVランプも1200Wから1600Wの出力にしたため,印字の高速化が実現。要望の高かった生産性を向上した。描画速度が向上したため,ランプの出力は上がったが,消費電力は抑えられる。

メディアテクノロジージャパン,最新デジタル技術を紹介
 メディアテクノロジージャパンは8月18日〜21日,東京・北の丸公園の科学技術館で製品展示会を催した。大判UVインクジェットプリンタや枚葉インクジェット印刷機を中心とした大判出力による壁紙やポスター,オンデマンド商品例のほか,インクジェット輪転機を中心としたオンデマンド出版,DM,帳票のバリアブル対応ソリューション,電力消費やCO2排出量の測定による環境対応ソリューションなどを提案した。また各種印刷方式をユニットで組み合わせられるコンビネーション印刷機やクリアニスの厚盛り加工専用機で印刷物の多様化,付加価値化も紹介した。

凸版印刷,読売新聞社と共同でVR作品の制作を開始
 凸版印刷は,東京国立博物館で10月8日〜12月8日まで開催される特別展「東大寺大仏:天平の至宝」で公開するバーチャルリアリティ作品「大仏の世界」(仮題)の制作を読売新聞社と共同で始めた。同作品は奈良時代に造立された東大寺大仏を,凸版印刷の三次元計測・色彩計測などの技術を用い高精細映像で再現する。展覧会では全長14.98mの大仏を展示室の壁面と天井に投影し,実物大での鑑賞を可能とする。また大仏の光背を取り除いた背面のほか,学術監修を基に大仏殿の外観も再現して映し出す。

レディバードクラブ,マーケティングと販促の本質を聞く
 大日本スクリーン製造の製品ユーザーやベンダーで組織するレディバードクラブは8月19日,紀尾井町のホテルニューオータニ東京で講演会を開いた。日産自動車の星野朝子執行役員が,間違いだらけのマーケティングに関し,顧客志向は企業の担当者は理解しているつもりだが実際は行動できていない。製品や広告が良くても購買される製品とは異なる。市場シェアを考えると,No.2以下の製品は覚えてもらえない,と述べた。
 また,浅野健理事長をモデレーターにホッピービバレッジの石渡美奈社長と第一三共ヘルスケアの香川和彦・営業企画部情報グループ長が販売促進戦略に関し,石渡氏はマス広告でなくパソコン通信やインターネットでの口コミ,ブログなどで自社製品の認知度が上がったことや,バスのラッピング広告,全社員が一人10種類持つ自分の名刺などについて話した。香川氏は,販促に関し印刷(コスト)がもっとも見えないため,広告代理店は介さず,独立系のSP会社か直接印刷会社とやり取りするようにしていることや,ネット社会になっても,消費者は商品を見て,手にとって購買を判断するものだと解説した。

クラウドマネジメント協会全国大会
 クラウドマネジメント協会は8月10日,芝のメルパルク東京で全国大会を開いた。主にコミュニケーション分野において会員企業のネットワークを活用した新規事業やビジネスモデルの提案を行う同協会は,求人広告会社や印刷会社を中心に現在約50社が会員となっている。基調講演では日経BPの中田敦氏が,グーグル,アマゾン,アップルなど米国企業5社がサーバー事業や電子データ配信事業で巨人となった理由などを解説した。また,ビジネスホテル「ビーエル」の佐野康治社長がツイッターを企業がどのように自社宣伝に活かしているか,事例を体験を交えて紹介した。

OEM研究会,クリーンプリントの活動を聞く
 印刷OEM研究会は8月20日,東京・鵜の木の金羊社で定例会を開いた。NPO法人クリーンプリントの創設経緯や活動内容を踏まえ,印刷会社と顧客の間で確約できる基準の制定によって資材のムダを削減することができるなど,印刷標準化の方向性について聞いた。そのほか,PRIMEDEXでの出展状況について会員内で感想を述べ,OEM基準の市場での導入実績や認知度を高める活動を強化する必要がある,などの意見が出た。

東京リスマチック,廃液量・処理費用を削減
 東京リスマチックは今春,富士フイルムグラフィックシステムズの現像廃液削減装置XR-5000を導入し,産業廃棄物排出量の削減で,環境・費用の両面で効果をあげた。同社では同装置の利用により廃液量が従来の8分の1程度まで減少したほか,残った再生水も水質に問題なく下水に放流できる。また廃液回収が週1,2回に減少したため回収費用も削減できた。

シルクマスター,衣類の段差に多色プリント
 シルクマスターは8月,Tシャツの衿やジーンズの袖付けの縫い目などの段差部分へのプリント技術を開発した。同技術では生地の風合いを損なわずに製品の形状に沿った自然な仕上がりになるほか,シルクスクリーン印刷の技法でいったん画像を特殊なシートに出力するため,微細かつ多色でのプリントができ,さらにラメや発泡などの特殊プリントもできる。洗濯堅牢度試験は4級以上を取得した。

日本ジャンボーと日本HP,デジタル写真分野で協業
 日本ジャンボーと日本ヒューレット・パッカードは7月,日本ジャンボーが提供するデジタル写真プリントの店頭受付端末「フォトキャッチャー」と,日本ヒューレット・パッカードが提供するオンライン画像保管サービスSnapfishを連携したサービスの協業に合意した。同サービスでは,フォトキャッチャーで出力を受注したデジタル写真を保管し,Web経由で焼き増しや,フォトブックやカレンダーなどの作成を受注する。

ダイナフォント3676書体がMac対応に
 ダイナコムウェアは,すでに発売しているWindows版TrueTypeフォント「DynaFontプラチナパック」のMacintosh版を9月16日から発売する。同フォントのMacintosh版は古印体・堂堂体・天祥体・爽流体の4書体を含む3676書体となる。1万2800円。

大日本スクリーン,ISO 50001の認証を取得
 大日本スクリーン製造は7月,世界で初めてエネルギーマネジメントシステムISO 50001国際規格案の認証を取得した。同規格案は企業などが利用・排出するエネルギーの総合的な管理を目的に開発された国際規格で,2011年に発行が予定されている。このシステムの導入により,エネルギー効率の改善やCO2排出量とエネルギーコストの削減,自社の省エネ活動を客観的に示すことができる。また同社は,同時に欧州版エネルギーマネジメントシステムBS EN16001の認証も取得した。

クォリティーライフ,3D印刷の普及へ
 レンチキュラーやホログラムなどの特殊印刷用資材を販売するクォリティーライフは,レンチキュラーを活用した3D印刷導入を容易にするサービス体制を整え,提案している。従来は設備コストが高く,新規導入が困難とされていたが,同社の協力会社を通して1点ものの受注から外注感覚で製造できるサービスとした。同社で素材の画像変換を行い,すでに実績のある印刷会社で印刷・加工する。新規開拓や差別化を目指す印刷会社の新たな商材の1つになるほか,内製化を考える会社には技術支援も行っており,外注から内製化へと転向する支援も行っている。(詳細は月刊『印刷雑誌』10月号)

セリック,人工太陽照明灯を発売
 セリックは,色彩評価用として自然光に近づけた卓上の人工太陽照明灯「ソーラックス」を開発し,販売を始めた。太陽光と同等の性質を持たせ,演色評価指数は100に近く,色温度は5000〜6000K,明るさ2000ルクス以上に設計した。色校正を行う場所ごとの照明のバラツキによって発生する刷り直しなどの問題解決を図った。25万円。

シーサイドソフト,電子書籍ソフトを無料提供
 シーサイドソフトは,ページめくり機能つきの電子書籍を作成できるWindows用出版ソフト「メディアブックパブリッシャー」の無料提供を始めた。DRM(有料オプション)やEPUB形式に対応し,専用ビューア不要,無料閲覧ページ設定による立ち読み機能,電子書籍を整理する本棚ソフトの無料使用などの特徴がある。同社サイトからダウンロード可能。

トータルメディア研究所,写研データのEPUB変換サービス
 トータルメディア研究所は8月,写研テキストデータを電子出版フォーマットEPUB形式に変換出力するコンバータソフト「SK to EPUB」を開発し,販売および変換サービスの提供を始めた。近日中にモリサワの電子書籍作成ソフトMCBookへのインポートに対応する予定。

アポロクリエイト,立体回転写真撮影機を発売
 アポロクリエイトは,被写体を360°から撮影する立体回転写真撮影機「フォトシミリ」および「フォトキャプチャ」の販売を始めた。台湾のOrtery Technologies社製で,360°から撮影したデータを合成して3Dデータを作成でき,インターネット商品カタログなどに活用できる。

三省堂書店,店頭でのオンデマンド出版を開始
 三省堂書店は,書店の店頭で書籍の印刷と製本を受注して約10分で1冊から発行するオンデマンド出版のサービスを今秋より始める。国内各出版社の協力により,300万点超の学術書を中心とした洋書や,デジタル化済みの日本語書籍を扱う。また少部数での自費出版や,学校や図書館,公文書館および企業の教育関連部門などの出版・製本の相談も受ける。当初は神保町本店のみのサービスだが,順次扱う店舗を拡大する予定。

移転
ニュープリンティング(株)(8月) 新住所:〒102-0072東京都千代田区飯田橋2-8-5,電話03-3264-2054
(株)エムディエヌコーポレーション(8月) 新住所:〒102-0075東京都千代田区三番町20,電話03-4334-2900

訃報
花田和彦氏(はなだ・かずひこ)
7月31日死去。63歳。共同印刷(株)元専務取締役。
永野和宏氏(ながの・かずひろ)
8月17日死去。69歳。四国グラフィックコミュニケーションズ工業組合理事長,(株)飛鳥 代表取締役。

電子出版関連のセミナー8月25日に
 出版研究センターは8月25日,東京・神田の岩波セミナールームで,電子出版講座「電子書籍の真実と電子出版の構図」を行う。7月に出版された植村八潮氏『電子出版の構図』と村瀬拓男氏『電子書籍の真実』の出版記念として両氏が著書を元に講演,討論する。参加費は9000円で書籍付き。詳細は,http://skc.index.ne.jp

印刷工業会,8月27日に電子書籍のセミナー
 印刷工業会は8月27日,東京・竹橋の如水会館で,「9月 印刷の月」協賛特別講演会を催す。「電子書籍時代のクロスメディアビジネス」として東京電機大学出版局の植村八潮局長が講演する。

印刷学会西部支部で9月3日見学会
 日本印刷学会・西部支部の印刷の歴史文化研究会は,文化財の保存修復に対するデジタル技術の応用に関し,有限会社墨仙堂の見学会を催す。9月3日(13時〜),集合場所は京都市営地下鉄 国際会館駅 バスセンター,会費1000円。詳細は,http://www.jspst.org

日本印刷学会,11月に大阪で秋期研究発表会
 日本印刷学会は11月19日,大阪市のモリサワで第124回秋期研究発表会「広がりゆくプリンティング技術」を開催する。

日本印刷技術協会,来年2月に展示会
 日本印刷技術協会は2011年2月2日〜4日に,東京・池袋のサンシャインシティコンベンションセンターでメディアの総合展示会「PAGE」を開催する。デジタルサイネージやデジタル印刷,DMやデジタルワークフローのソリューション,電子ブック,ユニバーサルデザインや環境などについてのゾーンを設ける。出展締切は9月30日。

 

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週刊『印刷雑誌』1巻15号
2010年8月23日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部


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