週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻13号 2010年8月2日
Japan Printer weekly vol.1, no.13

本メディアは,紙メディアである月刊『印刷雑誌』と連携し,月刊誌では遅くなってしまう情報を中心に掲載します。グラフィックアーツに携わる方々のお役に立てば幸いです。

大日本印刷と凸版印刷,電子出版制作・流通協議会設立
 大日本印刷と凸版印刷2社を発起人とする「電子出版制作・流通協議会」が7月27日,設立した。出版業界との密接な関係のもと,日本の電子出版ビジネスの成長と健全な発展のための環境整備を目的としている。
 電子出版ビジネスの発展に必要な課題の整理と検証,配信インフラ基盤に関わる問題とその解決,市場形成における検証や電子出版振興に関わる提言など,出版関連団体や権利者および行政機関との連携を図ることにより,電子出版の発展に貢献する活動を目指す。同日時点で,幹事会社の前述2社および電通含め,出版社,印刷会社,ソフトウェア会社など89の企業や団体が参加している。会長には大日本印刷副社長の高波光一氏,副会長に凸版印刷常務の大湊満氏が就任した。(詳細は月刊『印刷雑誌』10月号)

大日本印刷,電子書籍販売サイトを一新
 大日本印刷は,同社が運営する電子書籍販売のWebサイト「ウェブの書斎」を一新し,PCやPDAに加えiPhoneとiPod touch向けにも電子書籍の配信を始めた。取り扱うコンテンツも読者の要望に応えてジャンルを見直し,文芸作品のほかコミックを追加した。これにともない,iPhone用アプリケーション販売サイトApp Storeで「ウェブの書斎」用の閲覧アプリケーションを無償配布している。

コニカミノルタ,プリンタ事業と印刷関連事業を統合
 コニカミノルタビジネステクノロジーズ(BT)とコニカミノルタエムジー(MG)は10月1日付で,MG所管の印刷関連事業をBTに移管する。同日付で,コニカミノルタビジネスソリューションズ(BTの国内販売会社)とコニカミノルタグラフィックイメージング(MGの印刷関連国内販売会社)は統合する。商業印刷ビジネスに関する知見とデジタル印刷システムでのノウハウをBTに集約する。

トッパングループ2社が近況を発表
 凸版印刷は7月27日,同社の近況を発表した。2010年3月決算は,エレクトロニクスや生活環境系が良好だった。金子眞吾社長は「これまでのビジネスモデルを変える必要がある。当社はマーケティング力,クリエイティブ力,IT力がバランス良く強みである。一部門の損得でなく全体最適を考え情報コミュニケーション系の事業部を廃止した。また単品の印刷受注から,全体のビジネスプロセッシング事業を考える。多種多様な顧客がいることも財産であり,顧客から頼りにされるNo.1のパートナーを目指す」と話した。
 図書印刷は7月29日,同社の近況を発表した。昨年11月より,都内に分散していた事業所を新社屋(東京都北区東十条)に統合した。沖津仁彦社長は「業績は良くないが人は切らない。電子出版の話題が豊富だが,企画から配送・発信まで顧客(出版社)のバリューチェーンを考える。また当社が自信ある組版技術を重点項目に置く」とコメントした。

山愛,韓国で印刷業務開始
 総合印刷業の山愛は,英治出版の韓国法人Eiji21 Inc.と韓国内での印刷業務を展開することで提携した。山愛は日本国内で受注している一部顧客からの製品を韓国で生産し,顧客要望の高品質,低価格化を図り,日本標準価格の30%減ほどになると想定している。Eiji21は韓国内でのネットワークと実績を活かし,山愛の業務が円滑に行えるように全面的にサポートする。初年度の韓国での生産高は1億円,その後現地法人の設立なども行い,5年後に5億円を計画している。
 財団法人ソウル印刷センター「印刷輸出マニュアル」によると,日本への輸出は19億円(アメリカ75億円),輸入は44億円(アメリカ66億円)と貿易赤字になっており,印刷業務での輸出拡大が望まれているという。韓国の印刷は,特殊加工(UV,箔押など)が廉価に使用できるため,デザイン性の高い印刷物の作成が可能になり顧客の要求する商品表現力にも貢献できると見ている。

INAX,VPJのサーバーシステムを導入
 ユニットバスやシステムキッチンメーカーのINAXは,ビジュアル・プロセッシング・ジャパンのデジタル資産管理システム「WebNativeSuite」を導入した。これにより,同社の製品画像やカタログデータなどデジタル資産の一元化と全社的な共有によるカタログ制作業務の合理化とコストの削減を図る。導入にあたり,取引先の印刷会社からデータ管理と集配信サービスの提案も受けていたが,自社での設備導入が必要不可欠だったとしている。

モリサワ,年間契約でソフトを提供
 モリサワは,同社ソフトウェアについて,従来の販売形式に加え,新たに「年間契約」形式での提供を8月9日から始める。また,販売製品を対象とした新たな「保守契約」も同時に行う。年間契約は,1年間に期間を限定したソフトウェア利用契約を結び,期間中の新バージョンへの無償更新などに対応する。初期導入コスト低減や利用料の予算化などが図れる。対象製品はMC-B2,B2-WordIn,MVP Professionalなど6種類。

インフォプリント,出力データ管理ソリューションを紹介
 インフォプリント・ソリューションズ・ジャパンは7月29日,東京・銀座のリコー本社でセミナーを開いた。同社の印刷出力統合管理ソリューションについて紹介したほか,実演としてプリンタで帳票を出力し,他社製の封入封緘機で最終成果物にするまでの一貫したデータワークフローを提案した。また同時にネットワーク上で電子帳票に変換するシステムも解説した。

パッケージ用途に特化した3D CG制作ソフト
 MDDクリエイティブは,3D CGデータを作成するソフト「モノサツ」を5月末より販売している。同ソフトにはあらかじめ3D CGのパッケージ形状が登録されているため,外形の数値など包装用の画像データを用意するだけで立体画像のパッケージデータを作成できる。作成した画像は印刷用,Web動画用に変換でき,製品陳列画像を背景に実際の陳列情況を試すことも可能。

日本hp,個人向けネットプリンタを発表
 日本ヒューレット・パッカードは7月28日,プリンタドライバがないスレート端末やスマートフォンなどからでもネットワーク経由で出力できるインクジェットプリンタを発表した。プリンタ1台ずつに専用メールアドレスを持たせ,外部の端末からメールを送ることでその内容を出力する機能や,PCに接続しなくてもコンテンツアプリをプリンタにダウンロードしてクーポンやキャラクター画像を出力できる機能を備える。1万2810円。発売は8月5日から。

日印産連,環境関係の講演会2件開催
 日本印刷産業連合会は7月26日,東京・新富の日本印刷会館で「印刷・商業印刷物のカーボンフットプリントに関する調査研究報告会」を開いた。同連合会が発行した手引き書『事業者のためのGHG排出量算定ガイドライン』を元に具体的に印刷現場でどのような数値が必要になるのか,計算式の考え方を含めて解説した。
 また同連合会は7月29日,同所で「GP(Green Printing)工場」の認定式と,同連合会の中村洋之氏によるカーボンフットプリントの概要や同連合会が推進する「出版・商業用印刷物(中間財)」の取り組み,カーボンフットプリントにおける計算方法についての講演会を行った。

東印工組,電子書籍と印刷の展望を学ぶ
 東京都印刷工業組合は7月28日,東京・新富の日本印刷会館でセミナーを開き,東京電機大学出版局の植村八潮局長から「電子書籍が印刷業に与える影響」について聞いた。日本とアメリカの読書文化の違いや電子出版の議論が過去にも繰り返されてきたことを踏まえ,今後はデジタルならではの特徴を付加できるコンテンツが電子端末に対応でき,印刷業界も紙以外への展開は必要だが,文字文化をいかにビジネスにしていくかを考える必要がある,という点を聞いた。

日本印刷学会,8月3日に3Dディスプレイのシンポジウム
 日本印刷学会P&I研究会は8月3日,東京・文京区の印刷博物館で3Dディスプレイについてシンポジウムを開催する。http://www.jspst.org/

サカタインクス,8月24日に印刷業のIT戦略セミナー
 サカタインクスは8月24日,東京・新富の日本印刷会館で「印刷業界のIT戦略,次の一手」をテーマにセミナーを催す。価格競争に負けない印刷会社について,バリアブル印刷とWeb to Print,iPad・iPhoneの登場によるプリントメディアの可能性,の3件の講演を行う。http://e-inx.neo-genesis.gr.jp/event

竹尾,8月11日〜17日,紙文化のあり方の展示会
 竹尾は8月11日〜17日,東京の日本橋三越本店で日本の美意識や紙文化のあり方を提案する展示会を開く。10人のデザイナーが「おもてなし」をテーマにクリスマス用ギフトパッケージを提案する。また,日本人の伝統的な「晴れ」と「ケ」という生活原理の「晴れ」に焦点を当て,市場に出ている製品のうちで紙を効果的に使用したものを3点紹介する。http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/jcw/paper.html

アド・ミュージアム,アメリカの広告史を紹介
 新橋のアド・ミュージアム東京は10月3日まで「マディソン・アベニューの履歴書:時代をつくった男と女」展を開いている。1920〜1980年代に米国ニューヨークのマディソン・アベニューを拠点に活躍したクリエーターと,雑誌広告やテレビCMなどの作品や表現手法を紹介している。7月29日には関連セミナーを行い,同展をプロデュースした米国の非営利団体The One Clubのメアリー・ウォーリック理事長が,斬新さやユーモラスな作風で社会の価値観に影響を与えた広告作品や作者を挙げながら同時代の米国広告史を解説した。http://www.admt.jp/

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週刊『印刷雑誌』1巻13号
2010年8月2日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部


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