週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻30号 2010年11月22日
Japan Printer weekly vol.1, no.30
毎週月曜日10時発行(発行日が祝祭日のときは翌日発行)

週刊『印刷雑誌』は,印刷に興味がある人を対象にした無料のWebメディアです。
紙メディアである技術専門誌の月刊『印刷雑誌』と連携し,印刷に関係した情報を中心に毎週月曜日発行します。

大日本印刷,新しい電子書籍ビューア開発
 大日本印刷と,同社の子会社で電子メディアの企画制作を行うDNPデジタルコムは,iPhone向けに1つのアプリケーションで複数の電子書籍の購入や管理ができるストア機能を搭載した電子書籍ビューアを開発した。この開発に合わせて,大日本印刷の書体「秀英体」の明治から昭和にかけて発行した活字見本帖を,iPhone向けの電子書籍『秀英体全集』として,アプリケーション販売サイトApp Storeで11月18日に発売を始めた。今回開発した電子書籍ビューアには1つのアプリケーション内で複数の活字見本帖を書棚のように並べて管理できる電子書棚機能があり,利用者が使い勝手の良さを体感することで電子書籍の普及につなげていくという。

ネオ・ウィング,「キティ」お年玉付き年賀はがきを販売
 ネオ・ウィングは,11月16日より47都道府県の「ご当地キティ」と干支の「ウサギ・キティ」の年賀はがきセット2種をWebで販売している。同社のWebサイトのみでの限定販売とし,同絵柄25枚セットと47枚別絵柄に1絵柄3枚を加えたセットを用意した。

ランスロットグラフィックデザイン,立体成型の年賀状発売
 ランスロットグラフィックデザインは,インクジェットプリンタで絵柄を出力したPETを金型によって立体成型する「立体年賀状」を発売した。8種類の絵柄から選択でき,1枚あたり180円(40枚から注文)。宛名以外の表書き印刷も行う。

エプソン,溶剤プリンタでサイン市場進出
 エプソン販売は,溶剤系大判インクジェットプリンタ「MAXART GS6000」の販売を11月24日から始める。低臭気を目指して開発した独自の溶剤インクでオレンジとグリーンを加えた8色を搭載。従来よりも特色再現域を広げて色再現性を向上した。
 ヘッドは各色360ノズルで毎時7m2(720×720dpi)を出力する。消費者が近くで見るような屋内広告用途での高品質化のため,最小ドット3.7ピコリットルで粒状感をなくした滑らかな画像出力が可能。また出力前,出力時,出力後の3ヵ所にヒーターを独立して設置し,個々の温度調節により多種メディアへの対応と出力安定性を図った。249万8000円。

富士ゼロックス,環境対応のオフィス向け複合機発売
 富士ゼロックスは,オフィス向けフルカラーデジタル複合機「ApeosPort-Wシリーズ」3機種および「DocuCentre-Wシリーズ」3機種を,2011年1月17日から発売する。オフィスでのCO2排出量削減ニーズに対応し,出力環境の見える化や,利用実態に合わせた出力機器の最適配置,紙の電子化による出力枚数の見直し提案を図るもの。

幸和システム,カードプリンタの発売キャンペーン
 幸和システム販売はダイレクトカードプリンタ「DTC1000」の発売にともなうキャンペーンを11月15日から始めた。期間中に同製品を購入すると,カード発行ソフト,インクリボン,PVCカード,カードデザイン集,クリーニングキットをセットにして24万8000円となる。予定販売台数に達し次第終了。

リンテック,つなぎ目のないホログラム開発
 リンテックは,光の反射を滑らかな一枚柄として表現することで,つなぎ目をわかりにくくしたホログラムラベル素材「ホログラスター2010」を開発し,11月15日から販売を始めた。ラベル印刷時の生産ロスを低減するほか,ホログラム特有の黒点も少なく広い面積のラベルにも活用できる。

サイバーステーション,デジサインに新機種
 サイバーステーションは,デジタルサイネージシステム「デジサイン」に新機種2モデルを追加して11月30日から販売する。アイ・オー・データ機器と共同開発した普及機「STB2」(5万円)とアドバンテック社製の高機能機種「STB2PRO」(オープン価格)で,初年度2000台を目指す。

アドビ,電子出版ソリューションを発表
 アドビシステムズは11月19日,電子出版ソリューション「Adobe Digital Publishing Suite」を発表した。オンラインで提供される電子出版事業の支援サービスで,電子出版の制作や配信,eコマース,効果測定などの支援サービスが受けられる。基幹の制作アプリケーションはAdobe InDesign CS5で,クリエイターやオペレータが使い慣れた制作環境からiPad向けコンテンツの作成ができる。日本での製品発売は未定だが,同社サイト(米国版)から試用版を無料ダウンロードでき,コンテンツの制作や実際の運用試験が行える。現在,日本国内の120社50媒体が先行試験を行っている。

ソフトウェア・トゥー,デジタルアセット管理ソリューション発売
 ソフトウェア・トゥーは,国内販売代理店である米国Extensis Portfolioシリーズの新しいデジタルアセット管理ソリューション「Extensis Portfolio Studio」の販売を始める。同ソリューションは,部署やチームで共有したい写真やグラフィックデータなどの保存場所とメタデータをカタログ化して集中管理する。サーバー管理画面とカタログへのアクセスはウェブブラウザから行い,またMac OS X版,Windows版用のクライアントアプリケーションなどの環境で利用できる。18万円。

リクルートメディアコミュニケーションズ,情報誌編集業務システムを開発
 リクルートメディアコミュニケーションズは,DTPレイアウトソフト「QuarkXPress8」,出版管理システム「Quark Publishing System」および「QuarkXPress Server」を連携させた情報誌の組版作成プロセス管理システムを構築した。原稿制作や校正校閲機能を搭載し,必要な機能を限定的に担当者に使用させることで,ツールの共有化,簡略化を図った。これにより特別な知識を必要とせずに一定の組版を誰でも行える環境が構築できる。

フジ印刷,文章の認知を科学的に研究
 フジ印刷は,わかりやすい文章書式を認知科学的に追求した研究成果を11月29日〜12月1日に開催される国際会議「ICDC2010」で発表する。同社のデザインブランド「WarpStyle」と国際電気通信基礎技術研究所が共同研究したこの発表は,説明書や書籍を製作するさい,デザインなどから受けるわかりやすさのほかに,使用する「文字」に注目し,記憶に残る文字,文字から受けるストレスの変化などを検証する。

センチュリー21・ジャパン,デジタルアセット管理システムを採用
 センチュリー21・ジャパンは加盟店向け販促支援システムとして,ビジュアル・プロセッシング・ジャパンのデジタルアセット管理システム「WebNativeSuite」を採用した。ブランドロゴや写真・動画など加盟店が制作するチラシやWebサイトなどの販促物に使用する販促素材をデジタルデータとして同システムで一元的に管理,ネットワークを介して加盟店へ提供する。加盟店はセンチュリー21本部と加盟店が利用するグループウェアから同システムへログインし,媒体制作に使用する販促素材のプレビュー確認・検索・ダウンロードを自由に行うことができる。

コダックが東京応化工業の印刷用感光性樹脂版事業を買収
 米国イーストマン・コダック社は,東京応化工業との間で,東京応化工業の持つ印刷用感光性樹脂版事業に関して,実質上すべての資産を買収することで合意した。コダック社にとって,パッケージ市場での顧客サービスの可能性を拡大,強化する。フレキソ印刷用プレート,レタープレス印刷用プレート,点字用材料,母型取りの材料などが含まれる。印刷用感光性樹脂版の製造を行っている山梨県の生産工場も含まれる。約100名の従業員は,買収の手続きが全て完了次第コダック社に移る予定。

日本印刷学会,15件の発表で活発な意見交換
 日本印刷学会は11月19日,大阪・大国町のモリサワで第124回「秋期研究発表会」を開催した。発表14件(内招待講演1件),「可食性インクを使った果物,卵へのインクジェット記録の取り組み」飯田保春氏(紀州技研工業)の特別講演1件があった。

日本印刷学会,プリプレス技術のクロスメディア対応を思案
 日本印刷学会プリプレス研究会は11月19日,東京・新富の日本印刷会館で例会を開いた。「プリプレスの未来を考える:クロスメディア化におけるプリプレス技術の応用と展開」をテーマに,大日本印刷の山田和博,ISO/TC130 WG2 国内委員会の松木眞,毎日コミュニケーションズの小木昌樹,コンサルタントの桑田良輔,ピーディーシーの花房慶誠の各氏が講演した。

日本印刷技術協会,人材活用と育成を討論
 日本印刷技術協会は11月19日,東京の内幸町ホールで組織をテーマにシンポジウムを行った。東京大学大学院の高橋伸夫教授が講演し「組織とは,共に仕事をすることで形成されるもので,合意に基づいて素早く確実に実行できる力が組織力である」と話した。討論では高橋教授を司会にウエマツの福田浩志社長,ディグの杉井康之社長が「やる気を引き出す組織のあり方」について自社を例に印刷業ならではの組織の特徴などを述べた。

印刷教育研究会,デジタル教科書の展望を聞く
 印刷教育研究会は11月18日,東京・水道橋の都立工芸高校で勉強会を開き,東京書籍の市川寛氏から「教科書のデジタル化」をテーマに話を聞いた。ポルトガルで作成された生徒向けタブレットPC(インテル社製)「マゼランパソコン」の実物や,韓国政府が国策として進めているデジタル教科書事業の実証実験レポートなどを踏まえ,日本国内でも電子黒板の導入事例やデジタル教科書の実験が進行中であることを学んだ。

日本出版学会,校正のこころを聞く
 日本出版学会は11月20日,兵庫・西宮市の大手前大学で「秋季研究発表会」を開いた。「国立国会図書館における電子納本制度と出版業界」湯浅俊彦氏(夙川学院短期大学)をはじめ発表5件と,講演「電子出版時代の“校正のこころ”」大西寿男氏(ぼっと舎主宰,校正者)があった。

デジタルマーケティング展,開催
 ITやWebを使ったマーケティング関連の製品やサービスを紹介する展示会「デジタルマーケティングNEXT」が11月17日〜19日,有明の東京ビッグサイトで開かれた。主催は日本能率協会。約90社・団体が出展し,顧客情報の管理や分析方法,販売戦略,販促支援などの提案をした。印刷関連企業の出展では,デジタルサイネージと紙媒体の連携や,印刷物とデジタルコンテンツの連動,安価なDMなどがあった。

韓国印刷業会,環境印刷のセミナーを開催
 韓国の印刷業界は11月11日,ソウル市中区雙林洞の印刷情報センターで「親環境印刷セミナー」を開いた。主管はソウル印刷センター,東國大学校RIS事業団,トレンドメディア。セミナーを協賛したアグフア・コリア,大韓インキ,ベッチャー・システムズ社,ハンソル製紙が講演した。日本からは日本印刷産業連合会の油井喜春氏と環境保護印刷推進協議会の北濃克海氏が参加し,GP認定制度やCO2削減対策,カーボンフットプリント,クリオネマークや,環境経営を通じた企業の業績向上などについて話した。

小森会,リーダーシップ経験を聞く
 小森会は11月15日,東京・東陽町のホテルイースト21で「関東甲信越静小森会」と「東京小森会」を開いた。「オフセットオンデマンド,20マッチング,H-UVシステム・パッケージ市場へ」と題し,小森コーポレーションの杉山博幸氏が自社の取り組みを紹介した。基調報告として同社の小森善治社長は世界動向と印刷動向を話した。
 「やったらやれるで!:“SHINKA”するリーダーシップ」と題し,オフィス・なかがわの中川政雄代表から,できない社員・できない支店長は「どうせ」(できない,やれない,自分なんて,上司が悪い)を背中に背負っている。成績の良い営業マンは鞄を持つ手が少しだけ絞れていて胸を張りスタスタと歩くという話を聞いた。

帆風,CoCo壱番屋の経営哲学を聞く
 帆風は11月17日,東京・西新宿のベルサール西新宿でセミナーを開いた。カレーチェーン店壱番屋の創業者,宗次徳二氏が現場第一主義の重要性を述べた。サービスの行きつく所は接客姿勢であり,やさしさ,気づかいを持てば値引きをせずに顧客満足を達成できる。現場には必ず売り上げ改善のヒントがあるので,現場主義を貫き大きな夢でなく足元の目標を繰り返し達成していくことが重要,など自身の経営哲学を語った。

出版研究センター,デジタル時代の校正の心構え
 出版研究センターは11月19日,東京・神田の岩波セミナールームで「デジタル時代の校正の基礎知識」を開いた。あるふぁ企画の野村保惠氏が,デジタル入稿における誤植の傾向を実例で紹介するとともに,日本語組版の基礎は活字時代から変わっていないと説明し,著者や編集社が知識を積み重ねることが大切だと語った。

小森コーポレーション,パッケージ印刷にハイブリッドUVシステムを提案
 小森コーポレーションは11月18日,茨城・つくばの同社で内覧会を開いた。「ハイブリッドUV」システムの速乾性能や環境配慮を要点に,厚紙や特殊原反への印刷を提案した。菊全判6色オフセット印刷機と菊半裁寸延判6色オフセット印刷機で,コートボール紙やアルミ蒸着紙,PP・PET原反に4色印刷や白色印刷,ニス加工を施した。

小森コーポレーション,オランダで内覧会
 コモリ・インターナショナル・ヨーロッパ(KIE)は11月9日〜11日,オランダ・アムステルダムの南約30キロのユトレヒトにある同社で「Offset On Demand」内覧会を開いた。コダック(プリプレス+CTP),ホリゾンインターナショナル(後加工),PRINTVIS(MIS),東洋インキ製造(インキ),van son(インキ),UPM(用紙),テクノトランス(周辺装置),ボールドウィン(周辺装置),AteCe(印刷関連資材)の各ベンダーが協力。プリプレスから印刷,後加工までを,「ハイブリッドUV」乾燥システムを活用することでオンデマンド印刷に匹敵する生産効率を実演した。

本日,日本出版学会がデジタル出版について例会
 日本出版学会は11月22日,東京・神田錦町の東京電機大学7号館で例会を開く。「出版産業変容の透視図:“紙の本”の未来と“デジタルな本”の未来」と題し,日本出版学会副会長で東京電機大学出版局の植村八潮局長が講演する。参加費は会員無料,非会員1000円,学生500円。
http://www.shuppan.jp/yotei/353--1122.html

12月26日まで,ものづくりの今と未来を考えるデザイン展
 東京・赤坂のギャラリー21_21DESIGN SIGHTは,12月26日まで「REALITY LAB:再生・再創造」展を開いている。デザイナーの三宅一生氏が監修した,現在のものづくりにおける課題とデザインのあり方や可能性を表現した展覧会。アートディレクターや写真家,映像作家,惑星物理学者,数学者,デザインスタジオや企業が製作した作品を展示している。同展のポスターやチラシは東レが製作しており,その印刷のさいに使用した水なし印刷版も作品として展示している。
http://www.2121designsight.jp/program/reallab/

12月26日まで,凸版印刷が東京国立博物館でVR作品を上演
 凸版印刷は11月23日〜12月26日,東京国立博物館のTNM&TOPPANミュージアムシアターでバーチャルリアリティ作品「東大寺法華堂 国宝 不空羂索観音立像 宝冠」と「法隆寺献納宝物 国宝 金銅灌頂幡 飛鳥の天人」を交互に上演する。文化財の細部や作られた当時の姿を高精細映像で再現し,スクリーンに映しながら係員が解説する。博物館の入館料で閲覧可能。
http://www.toppan-vr.jp/mt/

11月25日,日本印刷学会グラビア研究会
 日本印刷学会は11月25日に,東京・市ヶ谷のお札と切手の博物館で勉強会を催す。「ノンソルラミネータの現状」について富士機械工業の清宮雅幸氏が,「軟包装におけるフレキソ印刷の活路」についてオリエント総業の原田秀典氏が解説する。参加費は学会員(正会員・賛助会員)3000円,非会員5000円。
http://www.jspst.org/event/101125.html

11月25日,日本画像学会が電子写真講習会
 日本画像学会は11月25日,メルパルク京都で「最新の高画質・高信頼性 電子写真プロセス:転写・定着からクリーニングまでの課題」をテーマに講習会を催す。
http://www.isj-imaging.org/event/tech_course/2010_tech_70.html

11月26日,日本画像学会が秋期研究発表会
 日本画像学会は11月26日,メルパルク京都で「第106回研究討論会」を開催する。
http://www.isj-imaging.org/event/conference/ICJ2010F/ICJ2010F_info.html

11月26日,全日本印刷工業組合連合会の全国印刷メディア協議会
 全日本印刷工業組合連合会は11月26日,ホテルインターコンチネンタル東京ベイで「第34回全国印刷メディア協議会」を開く。「電子書籍が印刷業・出版業に与える影響」として東京電機大学出版局の植村八潮局長と文化通信社の星野渉取締役編集長が講演する。参加費6300円。
http://www.aj-pia.or.jp/pdf/34media.pdf

12月10日,モリサワが文字文化フォーラム
 モリサワは12月10日,大阪・大国町の同社で文字文化フォーラム「○△□がやって来る」を開く。アートディレクターの青葉益輝,浅葉克己,長友啓典の各氏がそれぞれの世界観を元にデザイン表現について述べる。無料(要予約)。
http://www.morisawa.co.jp/corp/effort/forum/

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週刊『印刷雑誌』1巻30号
2010年11月22日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部

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