週刊『印刷雑誌』

週刊『印刷雑誌』1巻14号 2010年8月9日
Japan Printer weekly vol.1, no.14

本メディアは,紙メディアである月刊『印刷雑誌』と連携し,月刊誌では遅くなってしまう情報を中心に掲載します。グラフィックアーツに携わる方々のお役に立てば幸いです。

大日本印刷,電子書籍でドコモと提携
 NTTドコモと大日本印刷は8月4日,携帯端末向け電子出版ビジネスにおける業務提携を発表した。今後,携帯電話やタブレット型端末など多様化する通信端末で読者がいつでもどこでも利用できる電子出版市場の発展と,紙の書籍と電子出版コンテンツのハイブリッド型サービスの普及に向けて,コンテンツ収集から配信,電子書店の運営までを一貫して行う電子出版サービスの提供に関し,今秋のサービス開始を目指す。
 5600万人の顧客基盤,良質な回線品質,幅広いチャネル,課金・決済プラットフォームなどのドコモの利点と,デジタル化のノウハウ,出版業界での実績,リアル(丸善,ジュンク堂,文教堂)・ネット(bk1)・電子各書店運営などの大日本印刷の特長を融合させ,近いうちに共同事業会社(詳細未定)を設立する。

大日本印刷,近況を発表
 大日本印刷は8月2日,同社の近況を発表した。2010年3月連結決算は,売上高は減少したが増益は確保できた。情報コミュニケーション部門の売り上げは,M&Aなどで教育関係が伸びた。北島義俊社長は次のように話した。
 「電子書籍向けコンテンツを拡大し,現在10万点だが,出版社にも協力をお願いしており,30万点にしたい。子会社のCHIグループの事業を活かし,リアル書店と電子書店を融合するハイブリッド型総合書店を目指す。そして紙と電子両方を読者が手に入れられるようにする。これら電子書籍関係では500億円の売り上げを見込む。凸版印刷と電子書籍制作・流通協議会を作ったが,目的は日本の電子出版ビジネスを発展させること。出版社は企画や作家を育てることなどに注力し,制作・流通側は読者にプラスになるようオープンな管理システムを構築する。オープンシステムは公共の利益だが,その先は各社の工夫,努力となる。当社は出版コンテンツでの多様なサービスについてこれまで以上に創意工夫が求められる。」

クリエイティブ三創,中国での印刷サービスを開始
 千修の100%子会社であるクリエイティブ三創は,中国進出を行っている日系企業向けにオンライン受注による印刷出力サービス「チャイナプリントJP」を8月2日から始めた。印刷は中国現地の工場で行い,大量生産でのコストメリットや日本人による納品までの品質の保証,日本と中国の通関問題の解決などを特徴とする。

小森,厚紙対応の枚葉機を発表
 小森コーポレーションは8月5日,同社つくばプラントで菊半裁判・菊半裁判寸ノビ枚葉オフセット印刷機「ENTHRONE 29」の発表および実演会を行った。従来のLITHRONE Sシリーズの搭載技術をそのままに,紙厚は爪台調整なしで0.04〜0.6mmに対応し,倍胴圧胴と渡し胴の採用で安定した品質と搬送を図った。市場要求の高い小ロット対応のため最高印刷速度を毎時1万3000枚に落としたことで約24%の省電力となったほか,全体的な設計を見直すことで省スペース化した。版交換はセミオートで,版曲げ作業不要の万力や見当精度を向上するクランプ機構を搭載する。

リョービ,反転機構搭載機を開発
 リョービは8月4日,A全判オフセット枚葉印刷機「RYOBI 920」シリーズに用紙自動反転装置を搭載した「RYOBI 920P」シリーズを新たに開発した。用紙自動反転装置は2色機,4色機から6色機までと,8色機および10色機に搭載できる。3本中間胴方式を採用し,紙厚は0.04〜0.4mmに対応,最高毎時1万3000枚の両面印刷が行える。

富士ゼロックス,豪州のMPSプロバイダを買収
 富士ゼロックスの海外販社である富士ゼロックスオーストラリアは7月30日,オーストラリアのマネージド・プリント・サービスプロバイダのUpstream Print Solutions社を買収した。同社の中小企業向け出力サービスを統合することで,顧客の事業規模にとらわれないプリントサービスの展開を図る。

日本印刷学会,3D技術の動向を紹介
 日本印刷学会のP&I研究会は8月3日,東京・飯田橋の印刷博物館で「イメージングの最前線:3Dディスプレイの現状と今後」をテーマにシンポジウムを開いた。東芝の上原伸一氏と永谷広行氏,有沢製作所の葭原義弘氏,パナソニックの川島正裕氏,大日本印刷の山嵜秀城氏,富士フイルムの齋藤宏之氏,日本画像学会の副会長でデジタルメディア評論家の麻倉怜士氏が登壇した。立体印刷や,立体画像を撮影できるデジタルカメラおよびプリントシステムの技術を紹介したほか,3Dディスプレイの市場動向や,テレビおよび映画などの3D文化の展望,立体映像の身体への影響などについて講演した。

日本出版インフラセンター,10月に近刊情報システム運用開始
 日本出版学会・出版流通研究部会は8月4日東京・神田の八木書店で,日本出版インフラセンターが運用する「新刊情報集配信センター」の構想とその活用についてのセミナーを行った。同センターの永井祥一氏は10月1日までに新刊情報集配信システムを開始すると説明した。運用は発売2カ月前から出版社がデータベースに登録ができ,ISBN以外の情報は随時更新,変更が可能で,大手書店に集中しがちな近刊情報が小規模書店でも自由に入手できる。そのため,予約や販売計画を早期に行うことができ,出版業界全体の活性化につながると語った。

ggg,計算では出せないデザインの魅力
 東京のギンザ・グラフィック・ギャラリーは8月28日まで,「ラルフ・シュウライフォーゲル展」を開いている。スイスのグラフィックデザイナーである同氏のポスター展では,文化関連施設のポスターとして「シネマアフリカ」のシリーズなど39点を展示。中には,底が透明な水槽に水を入れ,ロゴと文様を水面で歪ませ,底からその様子をスキャニングし,版に起こした作品などもあり,コンピュータの自由度と自然な感覚を合わせたデザインの魅力を楽しめる。

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※次号(8月16日号)は,お休みします。

週刊『印刷雑誌』1巻14号
2010年8月9日発行
編集長兼発行人:中村幹
発行所:株式会社印刷学会出版部


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